「天井裏で物音がした」「庭で見慣れない動物を見かけた」「フンや足跡のようなものを見つけた」――そんなとき、次に気になるのは「結局、何の動物なのか」ということだと思います。
音やフン、臭いだけで動物の種類を一つに決めることは難しいのが実際のところです。この記事では、住宅周辺で異変や被害の原因として調べられることの多い動物を中心に、姿・足跡など複数の手がかりを公的資料に基づいて確認する方法を整理します。
害獣を見分けるときに大切にしたいこと
東京都環境局は、アライグマ・ハクビシンについて「在来種のタヌキやアナグマと顔の特徴が似ているため、見間違えられることがよくありますが、全身の特徴を理解すると区別することが可能です」と説明しています。
一つの特徴だけで種類を決めつけず、顔・尾・足跡・体色など複数の手がかりを組み合わせて確認することが、可能性を絞り込む手がかりになります。ただし、複数の手がかりを確認しても、種類を一つに決め切れるとは限りません。あくまで可能性を絞るための整理として参考にしてください。
まず確認したいポイント
農林水産省の資料(野生鳥獣被害防止マニュアル[中型獣類編])や環境省・東京都環境局の資料では、ハクビシン・アライグマ・タヌキ・アナグマについて、次のような特徴が確認できます。ここに挙げた特徴は、一つだけで種類を断定するものではなく、複数を組み合わせて可能性を考える手がかりです。

ハクビシン
- 顔:黒っぽい頭部に、鼻筋にかけて白い線がある
- 尾:長く、縞模様はない
- 足跡:指は5本
- 体色:茶褐色から灰褐色
アライグマ
- 顔:目の周りに黒いマスク状の模様があり、ヒゲが白く目立つ
- 尾:長く、黒い縞模様が5〜7本ある
- 足跡:指は5本で、人の手のような形に見える
- 体色:全体的に白っぽい
タヌキ
- 顔:目の周りの黒い模様に加えて、背中から前肢にかけて黒い帯がある
- 尾:短く、縞模様はない
- 足跡:指は4本
- 体色:茶色っぽい
アナグマ
- 顔:全体が白っぽく、目の下にかけて黒い模様がある(この模様のためハクビシンと間違われることがあるとされています)
- 尾:短くて太い
- 足跡:指は5本で、長く鋭い爪がある
- 体色:白っぽい部分が多い
ハクビシンとアライグマを見分けるときの手がかり
姿を直接見られない場合でも、家屋に残る跡から手がかりが得られることがあります。農林水産省の資料では、次のような違いが挙げられています。
- ハクビシンは、前肢・後肢とも丸い形の指で分厚い肉球を持ち、爪は小さいため、柱を登るときは爪を引っかけずに肉球を押し付けるようにして上り下りします。
- アライグマは、指が長く物をつかむように使え、歩くときに踵まで地面につきます。滑りやすい場所では爪を使って体を引き上げることもあります。
- 家屋の被害としては、アライグマは柱やガラスに爪痕が残ったり、糞尿のシミが壁に沿って現れたりすることがあると報告されています。ハクビシンは柱や雨樋に足跡が残ったり、糞尿のシミがポツンと現れたりすることがあると報告されています。
これらも被害の状況から得られる手がかりの一つであり、必ずこの通りに現れるとは限りません。
タヌキ・アナグマも候補にあがる場合
タヌキとアナグマも、東京都環境局や農林水産省の資料で見分け方の比較対象として挙げられています。
タヌキは、休息場所として神社仏閣や空き家などの床下、アナグマが掘った巣穴を利用することが農林水産省の資料で報告されています。アナグマは土を掘って自分で巣穴を作る習性があります。
農林水産省の資料では、屋根裏や壁の隙間を利用する動物としてアライグマ・ハクビシンなどは依存度が高いとされています。また同じ資料では、タヌキは神社仏閣や空き家などの床下、アナグマが掘った巣穴を休息場所として利用すること、アナグマ自身も穴を掘る能力に優れ複数箇所に巣穴を作ることが紹介されています。
ネズミやコウモリの可能性がある場合
足跡やフンが小さい場合は、ネズミの可能性を考える材料になります。ネズミらしい痕跡(フン・かじり跡・こすり跡・足音など)を確認したい場合は、ネズミが家にいるサインは?フン・音・かじり跡から確認する方法で詳しく整理しています。
夜間に飛ぶ姿を見た場合や、換気口・戸袋付近で音がする場合は、コウモリの可能性も考えられます。コウモリを追い出す方法や、捕獲・殺傷に関する法律上の注意点は、コウモリを追い出す方法は?まず確認したいことで扱っています。
ハクビシンの可能性が高いと考えられる場合、自分でできることと注意点は、ハクビシンを追い出す方法は?自分でできることと注意点で整理しています。
種類を決めつけたまま捕獲しない
姿や痕跡から可能性を絞り込めても、それだけで種類を断定して自分で捕まえることは避けたほうがよい行為です。環境省の資料では、アライグマの捕獲を目的に設置したわなに、ハクビシンやタヌキなど別の動物が誤って捕獲されることがあると報告されています。
また、アライグマは外来生物法に基づく特定外来生物、ハクビシンは重点対策外来種として扱われるなど、動物の種類によって法律上の位置づけが異なります(東京都環境局)。種類を決めつけたまま捕獲の行動へ進まず、必要に応じて自治体の窓口などで確認することが判断材料になります。
次に確認すること
姿・顔・尾・足跡・体色などの手がかりを組み合わせても、種類を一つに決め切れるとは限りません。それでも、いくつかの候補まで絞り込めれば、次にどの記事を確認するか、自治体や専門業者に相談するかを判断しやすくなります。